第四章 ある魔法使いの初修行

2/17
660人が本棚に入れています
本棚に追加
/158ページ
あの金色の炎はいったいなんだったのか。 それには、やはりあの謎の文字が関係してくると思う。もっとも、急に表れたあの不思議な文字が何だったのかさえ分からないが……。 それでも一つだけ分かった事は、あの文字を俺の脳裏に浮かび上がらせた人物が“俺に力を貸してくれた”ということだけだ。 最初は、俺に眠っていた力があったのかと考えたが、冷静に考えるとどうもその線は薄い。 何故かと言うと、あの模擬戦闘の次の日に聞いたクラスメイトの嫌味には「あんな小さい炎で魔力切れを起こす何て」と言った物が含まれていたし、決定的な物はあの時解読出来た“力”と“貸す”の文字だ。 小さい炎なら、俺でも軽く一時間は出し続ける事が出来るし、それにあの時の炎は金色だ。 金色の炎何てどうやって出すか分からない。それが出せたのは、“文字を出現させた人物が俺に力を貸した”という事に他ならない。 そんな特別な力を俺に貸す事の出来る人物何て心当たりが無い。だいたい、何で俺に力を貸してくれたのだろうか。 図書室であの文字の事を調べても、手掛かりになる物は全くと言っていいほど出てこなかった。 だが、希望が無くなったと言うわけでは無い。 あの文章がくれた言葉をヒントに、一晩考えて出した今の状況を脱却する方法。 それは、強くなる事。 あの文章が言っていた様に、アルフレッドを倒せるレベルとなるとハードルが高過ぎるが、“特別学級にいる事が不自然では無いレベル”に成れればいい。 それでも、厳しい事に変わりはないのだが……この状況が、ずっと続くよりはましだ。動く価値はある。 諦めるのは出来る事は全部やって、それでも駄目だった時だ。 いつまでも、うじうじしてはいられない。変わるために一歩を踏み出すんだ。 でないと、頑張ってこの学園に行かせてくれた両親やおじさんに、失礼になる。
/158ページ

最初のコメントを投稿しよう!