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『後に人魔大戦と呼ばれるその戦争に負けた人間に待ち受けていた物は、魔族による人間狩りだった。
捕まった人間は、殺されるか、奴隷にされるかの二択。
だが、そんな暗黒の時代は永遠には続かなかった。
二人目の英雄、グレゴリオ・ホリックが立ち上がったからである。
人間にとって驚いた事に、グレゴリオは魔族であった。
魔族にも人間の様な社会があり、生活があり、穏健派と呼ばれる者達がいたのだ。
穏健派の者達は他種族を奴隷の様に扱う過激派の行いに我慢ならず、立ち上がったとされている。
各地で魔族から人間を解放し、徐々に信用を獲得した穏健派は、長い年月を掛けて戦力を整えた。
そして、穏健派は人間と魔族の連合軍を完成させ、過激派との戦争を行った。
数で過激派を圧倒していた連合軍は、始まりの英雄を殺し、強大な力を持つ過激派のトップ(始まり英雄同様、何故か名が残されていない)をついに封印する事に成功し、戦争に勝利した。
これが、第二次人魔大戦である。
その後、人類と魔族は協定を結び、共存の道を歩んだ。
現在の人間と魔族が隔たり無く同じ国で暮らせる、平和な時代の根底を造り上げたのである』
カタリと机にペンを置き、たった今書き上げた文章を幾度か読み返す。
……うん、これで良いのか? 『人間と魔族の歴史に関する調査報告書』って?
わからん……。まっ、後でおじさん辺りに聞けばいいか。
「ふー……」
パキポキと、両手を上に伸ばして背伸びをした事で背骨が小気味の良い音を出した。
開け放った窓から入ってくる夜風がカーテンを揺らし、机にかじりついていたせいで火照った頭を冷やしてくれる。
ボーッとした頭で、やっぱり自分は座学よりも実技の方が性に合っていると再確認した。
でもまあ……やることはやっとかないとな……。
「……もう一頑張りしますか」
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