第十六話

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そんなの可愛そうだ。 葉月が、可愛そうだもの。 葉月はきっとそれでも一緒にいたいと願うだろう。 きっと、あの人も生きてたらそう言っていただろう。 ・・・・・あの人って誰? 名前が出てこない。 顔も、まるでモザイクがかかったみたいにはっきりしない。 大好きだったはずなのに。 大切だったはずなのに。 「・・・・・思い出せない」 そのとたん、ポロポロと涙がこぼれた。 「千春、どうしよう。 思い出せない。 かつて、大好きだった人のことが思い出せない」 あなたは、誰なの?
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