Red -激昂-

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一度ドクンっと大きくなった心臓が、いっそう早く動き出す。 あんなにあっさり別れを選択して、別れ話をしたのに。 たった今、彼女に線を引かれたことにすごくショックを受けている自分がいた。 別れを決断した時も、彼女にそれを伝えた時も、どこか他人事かのように感じていた。 それなのに…… いいのか? 本当にこれで。 高鳴る鼓動を抑え込もうと、必死で考えをめぐらす。 ドクンドクン、と感じる音の速さに比例するようにすばやく思考を回転させた。 俺は間違った? いいんだよな?これで。 別れよう、と言った俺の言葉を彼女は受け入れてくれた。 望んでいた結果のはず。 それなのに。 目の前に置かれた五百円玉と百円玉から目が反らせない。 何か得体の知れない感情が蠢く。
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