Red -激昂-

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いや。 大丈夫。 これでいいんだ。 間違ってなんかいない。 きっと予想外の彼女の反応に、ただ戸惑っているだけ。 激しく怒りを露わにしていた彼女が、急に冷静になって立ち去ったものだから、気になってしまっているだけだ。 人間だれでも、不意を突かれると気になるもの。 高鳴る鼓動を必死に抑え込もうと、深く深呼吸をして自分に言い聞かせ、ふっきるように残りのコーヒーを飲み干した。 すっかり冷めてしまったホットコーヒーは、ひどく苦く後味が悪かった。
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