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◇
私はもう、限界だった。
もう止めれない、と思うほど
怒りに支配されていたのに。
そのまま突き進んでいくんじゃないかってくらい、激しい怒りだったのに。
淡々と語る彼の言葉に潜む「結婚する気はない」という本音が、
いとも簡単に私の怒りを悲しみに変えてしまった。
自分でも驚くくらい、一瞬で。
ははっ…
結局そこなんだ。
私がこんなに悲しいのも、悔しいのも、イライラするのも。
彼にバッサリ切り捨てられたことが、ショックだったんだ。
知り合って3年。
付き合って1年。
思い出すのは、
彼の穏やかな深く響く声。
甘やかすように頭を撫でてくれる彼の温かく大きな手。
見上げた時に気付く、あごの下の小さなほくろ。
ああ。私、
すごく、好きなのに……。
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