Red -激昂-

14/14
前へ
/745ページ
次へ
目頭がじわりじわりと熱くなって水気を帯びる。 意地っ張りだな、と思う。 可愛げがないな、とも。 それでも、私を拒絶した彼の前では絶対に泣きたくなかった。 だから中途半端だと自覚していたけど、早く一人になりたくて。 一呼吸ついて、涙を抑え込んでその場を立ち去った。 店を出たら、我慢していた涙が制御不可能なくらいあふれ出てきた。 とめどなく流れる涙が、傷付いた心を一緒に流してくれればいいのに、と空を仰いだ。 視界に入ったのは、真っ青な中、気持ち良さそうに浮かぶ白い雲たち。 晴れ渡る空の下で。 言いたいことの半分も言えず、宙ぶらりんなまま。 燻っている怒りと悲しみを処理することもできないまま。 私の恋は今日、終わった。
/745ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2116人が本棚に入れています
本棚に追加