2116人が本棚に入れています
本棚に追加
目頭がじわりじわりと熱くなって水気を帯びる。
意地っ張りだな、と思う。
可愛げがないな、とも。
それでも、私を拒絶した彼の前では絶対に泣きたくなかった。
だから中途半端だと自覚していたけど、早く一人になりたくて。
一呼吸ついて、涙を抑え込んでその場を立ち去った。
店を出たら、我慢していた涙が制御不可能なくらいあふれ出てきた。
とめどなく流れる涙が、傷付いた心を一緒に流してくれればいいのに、と空を仰いだ。
視界に入ったのは、真っ青な中、気持ち良さそうに浮かぶ白い雲たち。
晴れ渡る空の下で。
言いたいことの半分も言えず、宙ぶらりんなまま。
燻っている怒りと悲しみを処理することもできないまま。
私の恋は今日、終わった。
最初のコメントを投稿しよう!