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3年前、私たちは知り合った。
突然の雨に急いで駆け込んだ、「臨時休業」と看板が立っていたお気に入りのカフェの軒下で。
あの日はたしか、日曜日だった。
そしてとてもよく晴れていた。
だから、もちろん傘なんてもたず、ブラブラと買い物をしていた。
急に景色が暗くなりふと空を見上げたら、青かった空は灰色に近い雲に覆われていた。
「あ……降るかも……。」
呟いた瞬間、空から雨が落ちてきていた。
それもけっこう激しい雨が。
(ぎゃ~、びしょ濡れになる!)
運の悪いことに私はその時、休憩をしようとお気に入りのカフェへ向かう途中だった。
お気に入りのカフェは賑やかなエリアから離れたところにあるため、まわりに雨宿りに入れるような路面店もなくて。
仕方がないから雨が降りしきる中、お気に入りのカフェを目指してひたすら走った。
こんなに走るのって高校以来?ってくらい走ったのに悪いことは重なるもので、お気に入りのそのカフェはまさかの「臨時休業」。
ここまで濡れちゃったら、さすがに店には入りづらいとは思いながらも、なんだか運に見放された気分になってため息をついた時、すっと、傘が目の前に差し出された。
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