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取り残された私は、ちょっとだけ悩んだけど、ありがたくその傘を使わせてもらうことにした。
男物のシンプルな黒い傘は、私の恰好には似合わなかったけど、大きくて、雨から私を守ってくれた。
結局その日の雨は降ったりやんだりを繰り返し、その傘を貸してくれた見知らぬ人に私は感謝をした。
それから私は週末になると、彼に出会ったカフェへ向かった。
あの人は返さなくてもいい、と言ったけど、傘を返してお礼が言いたいって思っていたから。
このカフェに来たところで、会える可能性なんてないのかもしれないけど、なんとなく通っていた。
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