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「あ!パパっ!」
声のする方を振り返った女の子は、そう言いながら満面の笑みを浮かべて駆け出した。
そこにはスラリとした長身の男性の姿。
その男性は、駆け寄ってきた女の子をひょいっと抱き上げると、
「溺れそうになったら、パパが助けてあげるよ。だけどね、まずは落ちないように気をつけようね。」
女の子に優しく語りかけた。
───あ、この顔……、
優しくて、すべてを包んでくれそうな穏やかな眼差し。
いつでも思い浮かべれるくらい愛して止まない表情。
───あれから、何年たった……?
女性が二人をぼんやり眺めながら過去に思いを馳せていると、頭上から声が下りてきた。
「それで?奈々子は続き、なんて言おうとしていたの?遮ってごめんね?」
軽く笑いながら男性が問う。
女の子に向けていたのと同じ、優しく、穏やかな眼差しで。
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