Red -激昂-

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「……別れようじゃない。別れたい、でしょ?」 そのまま情けなさに支配されていたら、もっと冷静でいられたのかもしれない。 でも、もう遅かった。 私が自ら発したこの言葉は、呆然とし、情けなくなっていた気分を一瞬で頭の隅に追いやってしまった。 「そんなこと……。どっちでも変わらないだろ?」 顔色も変えず、口調もそのままに淡々と、彼が切り返す。 その淡々とした口調にイライラが増していく。 気まずい空気を醸し出している私たち二人を、斜め横に座っているカップルが興味津々といった顔でチラチラ見ているのに気付いて、冷静さを少しでも取り戻そうと下唇を軽く噛んだ。 普段の私だったら人前では理性がきちんと働いて、これで感情を抑えることが出来る。 でも今日は止まらなかった。 冷静さを取り戻すどころか、別れ話なんてプライベートすぎる話をするのに、こんな人目に晒されるカフェを選んだ彼に苛立ちが募った。 きっと彼は私が人目を気にして、喚いたりしないって思っている。 私は人一倍人の目を気にしてしまう人間で、そんな私を、彼はとてもよく分かっているはずだから。
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