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なに、言った?
私、今日でアレキサンドライト外すのに……迎え?……
「な……ん、でいる、のよ。…ック…あ、つしのバカバカバカバカ。人が……せっかく。忘れ、よう……と、かく、ご……したの、に。バカーーー。」
繋いだ手を勢いよく払いのけ、両手で拳を作って言いながらドンドン敦志の胸を叩いた。
「なに……が、迎えよ。……遅い……のよ。あつ、し……ック…、なんて、忘れ、たんだから。」
ドンドン叩かれるまま、ただ黙っていた敦志がその言葉に反応したのか、急に私の両手首を捉え腕を左右に開いたかと思うと、そのまま私の背中で一つに纏めて拘束した。
片手だけで背中側に拘束されているはずの私の両手はびくともしない。
痛みはない。
あるのは驚きだけ。
敦志はあいている右手を私の顎によせ、クイッと私の顎をあげて、深く響く声で囁いた。
「……じゃあ、思い出して。」
言葉と共に敦志の唇が降りてきた。
涙と鼻水で無残な私の顔。
そしてここは公園。彩だっている。
敦志の唇から逃れようと必死に首を振ろうと試みても、顎をガッチリ掴まれていて無駄な抵抗に終わる。
そんな私の心を知ってか知らずか、
「今、周り誰もいないから大丈夫だよ。なぁ、それより、思い出した?」
翻弄されて息が上がる私とは裏腹に唇と唇が離れるわずかなタイミングで言葉を投げかけてくる敦志。もう、ダメ……その瞬間、
ガリッ……
「ッツ…、」
最後の理性をもってかれてしまう寸前私は敦志の唇に噛み付いた。
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