プロローグ

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原因はレインコートのフードが顔一面を覆っていたためで、私はフードを背中まで戻して視界を開放してあげた。 見上げる笑顔には“ありがとう!”という感謝がこもっている。 地下鉄駅は大理石に模したパネルの床が、傘から垂れ落ちる雫と靴底に含んでいた水滴の影響でいつもより光沢を放っていた。 改札口には行列。 『まもなく○△方面の電車が発車します……』 プラットホームから聞きたくなかったアナウンスが流れてくる。 スムーズに流れない行列に苛立ちを感じながら改札口を抜け、プラットホームへ。
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