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「…狙撃が止んだ?諦めた…訳も無いですよねぇ」
ライフルを構えたまま、虚識は歩き続ける。
警戒を解く事は無く、あくまで慎重に。
「………何かあるな」
ふと足を止めた虚識の前には、直線の道。
だが、虚識は殺意を感じとっていた。
小石を投げてみるが、反応は無い。
仕方ないか、少し進むしか…。
虚識がニ歩進んだ瞬間だった。
両脇の茂みで爆発が起こり、大量の鉄球が飛び出してきた。
「!?クレイモアか!」
バックステップで回避行動をとるが、流石に間に合わない。
虚識の左腕に、鉄球が命中してしまった。
「………やれ、やれ…困った、なぁ」
左腕に包帯を巻きながら、準備を整える虚識。
包帯は、赤く滲んでいる。
「対人地雷…しかも、センサー式じゃなくてリモコン式だったなぁ」
虚識がギリギリ避け切れない、足を置く寸前に、起動させたのだ。
「機械の殺意は無い…訳でも無いんだよねぇ、この場合は」
ライフルをしまい、右腕に拳銃を構える。
この距離なら、殺意が濃い。
ライフルも…撃たれる前に隠れられる。
リラックスした体勢で道路に出た虚識。
そしてゆっくりと歩き始めた。
ここから、地獄はこわされていく。
たった一人の鬼によって。
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