第ニ章 ~初仕事~

20/35
前へ
/39ページ
次へ
「…狙撃が止んだ?諦めた…訳も無いですよねぇ」 ライフルを構えたまま、虚識は歩き続ける。 警戒を解く事は無く、あくまで慎重に。 「………何かあるな」 ふと足を止めた虚識の前には、直線の道。 だが、虚識は殺意を感じとっていた。 小石を投げてみるが、反応は無い。 仕方ないか、少し進むしか…。 虚識がニ歩進んだ瞬間だった。 両脇の茂みで爆発が起こり、大量の鉄球が飛び出してきた。 「!?クレイモアか!」 バックステップで回避行動をとるが、流石に間に合わない。 虚識の左腕に、鉄球が命中してしまった。 「………やれ、やれ…困った、なぁ」 左腕に包帯を巻きながら、準備を整える虚識。 包帯は、赤く滲んでいる。 「対人地雷…しかも、センサー式じゃなくてリモコン式だったなぁ」 虚識がギリギリ避け切れない、足を置く寸前に、起動させたのだ。 「機械の殺意は無い…訳でも無いんだよねぇ、この場合は」 ライフルをしまい、右腕に拳銃を構える。 この距離なら、殺意が濃い。 ライフルも…撃たれる前に隠れられる。 リラックスした体勢で道路に出た虚識。 そしてゆっくりと歩き始めた。 ここから、地獄はこわされていく。 たった一人の鬼によって。
/39ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加