第ニ章 ~初仕事~

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「…こんな所、ですかね」 辺りから、殺意が無くなった事を確認して歩きはじめる虚識。 「ふふ…備え始めましたかね?」 まったく…面倒な事になってきたなぁ。 狙撃とか、こっちに気をとられてくれていれば、軋識さんが奇襲出来たのに。 間違いなく、要塞化された本拠地に乗り込むのは…面倒だな。 「軋識さんも、ちょっと足止めされ気味だし…仕方ないですねぇ」 そうは言いつつも、嬉しそうな虚識。 これを成功させれば、間違いなく軋識に認めてもらえるだろうと。 高まる気持ちを抑えつつ、ゆっくりと敵地へと向かうのだ。 決して、笑みを崩さぬままに。 「さて…どうしましょうかね?」 狙撃手の居たであろう廃墟までたどり着いた。 だが…この雰囲気は…。 「一個師団近くの人数が居たはずなのに…二人だけ?」 辺りに散らばっていた殺意の数は、個々に感じ取れない程にあった。 しかし…この廃墟の中には、二人分の気配しかない。 「自信有り…ってことですかね」 まぁ…あの狙撃の腕は確かであったし。 ここに来るまでに、かなりの時間を要した。 つまりは「要塞、だよな」 荷物を整理して、武器類を整える。 紅く染まった包帯が気にはなるが…まぁ、許容範囲だ。 「…さて、零崎を始めましょうか」 ゆっくりと、笑みを崩さず、虚識は踏み込んでいく。
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