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「…こんな所、ですかね」
辺りから、殺意が無くなった事を確認して歩きはじめる虚識。
「ふふ…備え始めましたかね?」
まったく…面倒な事になってきたなぁ。
狙撃とか、こっちに気をとられてくれていれば、軋識さんが奇襲出来たのに。
間違いなく、要塞化された本拠地に乗り込むのは…面倒だな。
「軋識さんも、ちょっと足止めされ気味だし…仕方ないですねぇ」
そうは言いつつも、嬉しそうな虚識。
これを成功させれば、間違いなく軋識に認めてもらえるだろうと。
高まる気持ちを抑えつつ、ゆっくりと敵地へと向かうのだ。
決して、笑みを崩さぬままに。
「さて…どうしましょうかね?」
狙撃手の居たであろう廃墟までたどり着いた。
だが…この雰囲気は…。
「一個師団近くの人数が居たはずなのに…二人だけ?」
辺りに散らばっていた殺意の数は、個々に感じ取れない程にあった。
しかし…この廃墟の中には、二人分の気配しかない。
「自信有り…ってことですかね」
まぁ…あの狙撃の腕は確かであったし。
ここに来るまでに、かなりの時間を要した。
つまりは「要塞、だよな」
荷物を整理して、武器類を整える。
紅く染まった包帯が気にはなるが…まぁ、許容範囲だ。
「…さて、零崎を始めましょうか」
ゆっくりと、笑みを崩さず、虚識は踏み込んでいく。
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