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「ワイヤーに触れれば、道は途絶える」
「それは重々承知してますよ」
「俺は、闘いの最中に決してワイヤーには触れない」
「…そちらにメリットはありませんが?」
「お前と、真っ向から勝負できる」
そう言って、両手に薄い刃物を持つ 陰。
「暗殺部隊が真っ向から、ねぇ」
「…そもそも俺は、暗殺など好きでは無い」
「ほう?」
そう言いながら、懐に手を突っ込む。
「武器を構えたければ構えろ…自分の力も出し切れない暗殺など好きではないのだ」
「だけど、あんたは暗殺部隊なんだろ?」
「ふん、好みではなかったが、向いてはいた、というだけだ」
「はぁん…なるほどね」
そう言いながら、ゆっくりと歩き出す。
相手も、俺に合わせて歩く。
「だから…こういった、強者と戦える時を待っていた」
「俺が強いと思っているんですか?」
「あのお二人の狙撃、罠を抜けられれば実力者と言えよう」
お二方ねぇ…どうやら、二人の狙撃手が部隊長かな?
それに…不満を持ちながらも、従い続ける理由もその二人だろう。
俺達一家で言うなら…いや、皆大切だな。
「さぁ、そろそろ始め『バン!』
陰の言葉を遮り、放たれた銃弾は 陰の頭部を貫いた。
弾は、俺の懐から飛び出した。
「…脇の所に、特注のホルスターがあってね」
そこには、前方に銃口が向いていて、引き金を引けば弾が飛ぶ。
服に穴が空いてしまうが…仕方ない。
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