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命を奪う気も無ければ、命を奪う道具でもない。
そんな物に、殺気が宿るはずも…ない。
なるほど…これは…盲点だった。
「おもちゃで痛め付けられる気分はどうだ?」
「ちょっと驚いた、くらいですね」
しかし…これは良くない。
この攻撃自体は、大した事もないが…逃げ道を限られてしまう。
「どうした?動きが鈍くなってるぞ?」
「はぁ…はぁ…」
何より…ここに来るまでに、精神を擦り減らし過ぎた。
そろそろ…辛い!
「息が上がってきたな、もう楽になってしまえ!」
「はぁ…はぁ…」
だけど…ここで…「勝機を見つけました」
そう言うと突然、虚識は走り出した。
壁のある方向へと。
「逃げ道を更にへらすのか?ん?」
「あんたは…ちょっと…」
そう言いながら、左手を壁につける。
「ん?」
「喋り過ぎですね」
その直後、虚識の後ろの壁が吹き飛んだ。
その反動で前に跳んだ虚識は刃物を前方に投げた。
「………ぐ、う…」
その刃物は、姿の見えなかった敵に 確かに突き刺さっていた。
「何故…だ?何故…俺の居場所が分かった?」
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