第ニ章 ~初仕事~

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命を奪う気も無ければ、命を奪う道具でもない。 そんな物に、殺気が宿るはずも…ない。 なるほど…これは…盲点だった。 「おもちゃで痛め付けられる気分はどうだ?」 「ちょっと驚いた、くらいですね」 しかし…これは良くない。 この攻撃自体は、大した事もないが…逃げ道を限られてしまう。 「どうした?動きが鈍くなってるぞ?」 「はぁ…はぁ…」 何より…ここに来るまでに、精神を擦り減らし過ぎた。 そろそろ…辛い! 「息が上がってきたな、もう楽になってしまえ!」 「はぁ…はぁ…」 だけど…ここで…「勝機を見つけました」 そう言うと突然、虚識は走り出した。 壁のある方向へと。 「逃げ道を更にへらすのか?ん?」 「あんたは…ちょっと…」 そう言いながら、左手を壁につける。 「ん?」 「喋り過ぎですね」 その直後、虚識の後ろの壁が吹き飛んだ。 その反動で前に跳んだ虚識は刃物を前方に投げた。 「………ぐ、う…」 その刃物は、姿の見えなかった敵に 確かに突き刺さっていた。 「何故…だ?何故…俺の居場所が分かった?」
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