第ニ章 ~初仕事~

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「あなたは喋り過ぎたんですって」 ゆっくりと歩み寄りながら、虚識は淡々と話す。 「あなたの声を聞いていたらね…特徴があったんですよ」 「特…徴、だと?」 急所を貫かれ、動く事も出来なくなった敵も続ける。 「あなた…私が攻撃を受けた時に、声が快感を帯びるんですよ」 「は、はは…なるほど、な」 「あなた…根っからのサディストですよね」 そう、虚識は姿の見えない相手の声を、察していたのだ。 声の調子の僅かな変化を、虚識は聞き逃さなかった。 「そんなあなたなら…最後には、私の顔を見に来ると思いましてね」 そう言って、倒れる敵の下にたどり着いた。 「ふん…俺が、未熟だった、か」 「まぁ…あなたが、人であった、ということですよ」 懐から取り出した拳銃で、頭部を撃ち抜く。 渇いた音の後、そこには死体が残った。 「はぁ…しんどいですねぇ」 ゆっくりと歩みながら、虚識は愚痴っていた。 「はぁ、軋識さんなら、この程度は…いや、私は軋識さんじゃありませんしね」 あの人と対等となるには…まだまだ遠い。 出来ないかもしれない。 だけど…。 「夢、じゃなくて目標にしておけば…いつか辿り着けるかもしれませんね」
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