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「さて………どうしたものでしょうか?」
疲労困憊でたどり着いたもう一つ上の階。
あと一歩で、屋上に辿り着けるのに…。
「やれやれ…困りましたね」
先程とは違う…気配は感じるのだが、姿を認識出来ない。
誰かに見られている様な…そんな感覚。
「…厄介、ですねぇ」
先程とは違う、明るい部屋。
人が居れば分かるはずなのに…見えない、認識出来ない。
「…進む、しかありませんよね」
ゆっくりと部屋の中に進む。
その瞬間、刺すような殺気が虚識を襲った。
「!?」
バックステップで部屋から飛び出る虚識。
しかし、部屋には誰も居ない。
居たとしても…認識出来てない。
「…どうしましょうか、ねえ?」
武器をホルスターに収め、ゆっくりと目を閉じる。
「……………」
自分の感覚を限界まで研ぎ澄ます。
自分に向けられる、僅かな意識に敏感になる。
「どこだ…どこに居る?」
少しづつ広がる探索範囲、部屋の隅々まで行き渡った。
「…居ない!?」
馬鹿な…間違いなく、自分に向けられた殺意だった。
それが…部屋には、誰も居ないという事実によって怪しくなった。
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