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次の瞬間。
・・・・・・・・・・・
虚識の身体を刀が貫いた。
しかも、前方からだ。
「ぐっ…痛ぅ…」
表情を歪める虚識。
しかし。
「…何故、だ?」
虚識の後ろで。
一人の男がその刀で胸を貫かれていた。
その刀は、虚識の右袖から飛び出していた。
「どうして…俺の、位置が?」
「足跡…ですよ」
ゆっくりと刀を引き抜くと、後ろに居た敵は崩れ落ちた。
「ここの床…結構汚れているんですよね、歩けば足跡が残るくらいに」
虚識は糸を取り出し、自分の傷口を縫合し始めた。
「明かりは、影が後ろにしか出来ない為の細工ですよね」
「そうか…余計な事だったか」
「えぇ…そのおかげで気付けましたよ」
傷口の縫合を終え、溜め息をつく。
・・・・・・
「まさか…真後ろに居るとは…驚きましたよ」
「見破られたのは…お前が初めてだ」
「それは…光栄ですね」
懐から拳銃を取り出し、倒れている相手に近づく。
「俺は…鏡 キョウ。お前の名は?」
「零崎虚識だ…全く、あなた方三人には苦労させられましたよ」
そう言って、銃口を頭に向ける。
「ふん、だが…組織の勝利の糧となった」
「そうですか、それじゃあ」
パン、と渇いた音が一つ。
もう、そこには一人しか居なかった。
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