第ニ章 ~初仕事~

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次の瞬間。 ・・・・・・・・・・・ 虚識の身体を刀が貫いた。 しかも、前方からだ。 「ぐっ…痛ぅ…」 表情を歪める虚識。 しかし。 「…何故、だ?」 虚識の後ろで。 一人の男がその刀で胸を貫かれていた。 その刀は、虚識の右袖から飛び出していた。 「どうして…俺の、位置が?」 「足跡…ですよ」 ゆっくりと刀を引き抜くと、後ろに居た敵は崩れ落ちた。 「ここの床…結構汚れているんですよね、歩けば足跡が残るくらいに」 虚識は糸を取り出し、自分の傷口を縫合し始めた。 「明かりは、影が後ろにしか出来ない為の細工ですよね」 「そうか…余計な事だったか」 「えぇ…そのおかげで気付けましたよ」 傷口の縫合を終え、溜め息をつく。      ・・・・・・ 「まさか…真後ろに居るとは…驚きましたよ」 「見破られたのは…お前が初めてだ」 「それは…光栄ですね」 懐から拳銃を取り出し、倒れている相手に近づく。 「俺は…鏡 キョウ。お前の名は?」 「零崎虚識だ…全く、あなた方三人には苦労させられましたよ」 そう言って、銃口を頭に向ける。 「ふん、だが…組織の勝利の糧となった」 「そうですか、それじゃあ」 パン、と渇いた音が一つ。 もう、そこには一人しか居なかった。
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