第ニ章 ~初仕事~

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「いやー、私には理解出来ませんね」 刀を袖口から飛び出させる仕込みに戻し、明るい部屋をゆっくりと進む。 「仲間を…家族を駒の様になんて使おうとも思えませんよ」 ぶつぶつと呟きながら進む虚識。 その顔には、当初の余裕など無い。 追い詰められた表情であった。 「あぁ…こんなに追い込まれるとは、軋識さんは…大丈夫そうですね」 こんな時でも家族の心配。 外に居るであろう軋識の気配を感じ取り、安堵する虚識。 「ヤバいなぁ…肉体はともかく、精神的に…まいった」 家族と一緒の際には珍しく、虚識の心が折れかけていた。 狙撃、トラップ、連戦…それが虚識の心を折ろうとしていた。 腰を下ろそうとした、その時だった。 ピリリリリリ! ピリリリリリ! 「携帯電話…今まで、鳴らなくて良かったな」 どうやら電話のようだ。 「はい…虚識です」 「虚識兄?今、どこなの?」 「おや…鍵織ちゃん…今は、帰宅途中ですかね」 電話をくれたのは、妹 零崎鍵織だった。 虚識の見つけた、家族だ。 「ふーん…大分疲れてるみたいだね、大丈夫?」 「大丈夫ですよ…心配してくれてありがとうね」 「うん…じゃあ、早く帰ってきてね?待ってるから」 そう言って電話は切れた。
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