第ニ章 ~初仕事~

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軋識の心配とは裏腹に、虚識はモチベーションを上げながら進んでいた。 「屋上ですね」 階段の途中、踊り場で足を止めた虚識。 ナイフを右手に持ち、臨戦態勢をとっていた。 「狙撃手相手にこの階段は使いたく無いんですがね…」 先程までと違い、距離は大して無い。 入る所をライフルで狙われたら…流石に避けられない。 その時、ギギィと音をたてて開いた。 「上がってこい、零崎」 「話をしよう、零崎」 その声が響き渡る。 さて…罠か? ハッキリ言えば…罠としか思えない。 「罠などでは無い」 「話を…商談をしたいだけだ」 「武器は置いておこう」 「ほら、上がってこい」 …ここまで言われたら、行くしかない。 それに…このままでは、突破口も開けない。 虚識は最大限の注意を払いながら、階段を昇っていった。 ドアを越えると、屋上は月明かりで照らされていた。 敵二人の姿は、ハッキリと見える。 「我等は八咫烏が長、左角 サカク」 「同じく右角 ウカク」 そう言う二人は、全く同じ服装をしている。 全身を黒で固めた服、傍らにはライフルが一丁づつ。 顔などは覆われていて確認出来ない。 そんな二人が、線対照に立っていた。
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