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この世界には、人間と、人間ではない者が居る。
日常には魔の力が満ち、彼らにとってその力は当たり前のものだった。
生活に使われ、娯楽に使われ、戦に使われる。
人間でない者ー亜人は特に魔の力が強く、どこに行っても重宝された。
仕事に、暮らしに、戦に。
亜人の力は人間の数倍と言われ、またその容姿は見目を引く。
良い意味でも、悪い意味でも利用される。
世界には、人間と亜人が生きていた。
ーーー
「キャプテン!そろそろっす!」
抜けるような蒼い空の下、深い蒼の海の上。
黒く大きな船が波をかき分け前へと進む。
その船の上で、ボーイソプラノの声が波の音と共に響く。
「随分かかったな」
「あの海域で嵐に巻き込まれましたからね。まぁ、それでも速い抜け道を使ったから予定より早く着いたじゃないですか」
緑がかった黒髪の男が、吹き抜ける風に目を細めた。
名はヴィンセント。このオーケアノス号のキャプテンだ。
「ガラク、後どれ位だ?」
「…この風の向きなら港まで一時間ってところですかね」
少し癖のある髪は太陽の光に反射して金色に光る、彼はガラク。
オーケアノス号の航海士。
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