僕ときみの始まり

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アンドロイドにはスーパーAI搭載の人間同様に意思を持ったタイプAと、無機質で意思のないタイプB、大人の裏モノのタイプO、スーパーAIの失敗で無機質BになったタイプABがある…という噂だ。 流通しているアンドロイドはほぼ無機質なタイプBであり、タイプAになれば金額はマンションが買えるほど…だがこれも噂だった。 高校生にアンドロイドなんて身の程をわきまえろと言われるのがオチで、大人達はバカにしたように笑うだけで何も教えてはくれなかった。 「もちろんきみは…タイプAだ。」 うまくいけばの話だが失敗しては困る。 一ヶ所ずつ点検しながら額にはうっすら汗がにじみ、緊張感が増していく。 アンドロイドは一見すると普通の人間と変わらないように見えるため、腰の上に型式を彫らなければいけない法律がある。 僕はアンドロイドの腰上部にしっかりと【TypeーA】と彫っていた。 もし失敗して意思のないアンドロイドが出来てしまえば、Aの隣にBを足さなければいけない。 部員の一人が作ったアンドロイドは失敗作で、Aの隣に申し訳なさそうにBと書いてあった。 僕はそれを見て大笑いしたことを思い出し、後悔した。 「僕も同じ目にあうのかな…。」
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