僕ときみの始まり

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ドクンドクンと心臓に血が流れ込むのがわかるほどに興奮していた。 はやる気持ちを抑えて、一旦アンドロイドの電源を切る。 「………せ、成功だあああ!TypeーA!よっしゃああ!!」 僕は渾身のガッツポーズをして、ベッドに頭からダイブした。 「ああ…マジでアンドロイド作っちゃったんだな、僕。」 長かったような短かったような、そんな高校生活を捧げた製作期間を思い出すと感慨深かった。 緊張の糸も切れ「ふう」と一呼吸し、机からノートを取り出す。 それはアンドロイドの取扱い説明書を自分なりにまとめたものだった。 初期設定についてパラパラと見直しノートを戻すと、正座をしてゴホンと咳き込み、かしこまりながらもう一度電源を入れる。 アンドロイドは一度電源を切ると知能がリセットされる。 バグや性格の乱れで良俗に反したときに、電源を落とせばその記憶もリセットされるように設計しなければいけない法律があるのだ。
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