面倒なプロローグ

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不思議な表現だが、水平線の先まで何も無い真っ白な空間に、真っ白な人形のシルエットがいた。 人の形のシルエットは、真っ白な空間で横たわる青年ー西野 友希ーに声をかける。 「もう一度聞く、力が欲しいか?」 「めんどくさい、保留で」 「もう一度聞く、力が欲しいか?」 「あと十分だけ寝させて」 西野 友希が死に、この空間にやってきてから数世紀、こんなやりとりが延々と繰り返されていた。  「普通の子なら喜んで飛びつくのになぁ」 ”やれやれ”と肩をくすめてため息を吐くシルエット。今までの経験で、死んだ人間に力と転生を提案して断られた事はあっても、今回の青年、西野 友希の場合の様に可もなく不可もなく、優柔不断ですらない、判断する気もないパターンは初めてだった。 故に、人から”神”と称される白い人形は困惑している。
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