30人が本棚に入れています
本棚に追加
半分波に使っていた服の裾からは、水が染みぐっしょりと濡れている。
質問に応えない姫にしびれを切らしたのか、
男はまとっていたマントを姫の身体に被せ足に負担を掛けないように抱きあげられた。
驚いて、暴れようとするが足に走る激痛が怖くて力が抜けた。
「良い子だ」
それに満足したのか、男は笑って姫を見てから浜辺を歩きだした。
為されるがままに姫は男に連れられていく。
浜辺を出て、まだ動き始めてない街を抜け、たどり着いたの海の王宮にも負けないほどのお城。
そういえば、彼は『皇子』と呼ばれていた。
この国の皇族の方なのだろうか。
抱きあげられた身体に伝わる彼の鼓動と、歩いていることによる揺れと、身体にかかる心労で、
姫の意識はまた、そこで途切れてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!