海の姫

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それを王宮の中から見ているのは、一際若い水の姫。 聞こえてくる歌に合わせて口ずさむ歌声は美しく、 水の民全ての自慢と誇り。 容姿は、美しい姫達をさらに凌ぐ美しさ。 大きな瞳は浅瀬の様に澄んだブルーアイ。 まつ毛は、頬に影を落とすほどに長く、真っ赤な唇には色気がある。 長い髪は瞳と同じ色で、王冠と心中で飾られた髪がキラキラと波にたゆたっている。 程良く膨らんだ胸も、くびれた腰も艶めかしいほど色気を振りまく。 一目見ただけで誰もが魅了されてしまうその姿に、求婚する王子達も少なくないと言う。 ただ、彼女の興味はそこには無く、見向きもしていないのだが。
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