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彼女が興味があるのはただ一つ。
「お母様、水の上には行ったことがある?」
歌うのを辞め、王座に座る母に泳ぎ寄り強請るように姫は女王の顔を覗き込む。
「あぁ、あるぞ」
姫の頭を撫で、女王は綺麗な顔を緩め微笑む。
さすがは姫の母親なだけあり、女王の威厳も相まって、その美貌は誰もが平伏すほどに美しい。
「お母様、水の上はどんな世界?」
博識な彼女は興味が燻られることに貪欲だ。
自分の知らない事を知ろうと、母に話を強請る。
「気になるのなら、その目で見て、知り、学ぶことだな」
女王である母は優しいが、厳しいところもある。
いずれこの水の国を滑る姫の為に、試練を与える。
まだ幼い姫に旅をさせる。
けして、頭ごなしに否定をしたりしない。
聞くよりも、自分の目で学んで来いと子の背を押した。
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