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「來人!」
ホームルームも終わったので教室をでて、靴箱で靴を履きかえていると、
隣に小柄でショートヘアの
鷺宮紅が立っていた。
近所に住んでいるので
帰る時間帯が同じ時はよく一緒に下校する。
「テスト、どうだった?」
來人は開口一番、紅に一番重要な質問を投げかけた。
一瞬、緊張が走る。
「完璧!來人の予想問題全問的中!」
よしっ
「じゃあ、今日の分も頼む」
「はいよ」
俺は、テストの予想問題を紅に提供する代わりに、晩御飯のおかずをおすそ分けしてもらっている。
そのため、紅の成績は死活問題だ。
「來人って、何気にすごく頭いいよね。テストの予想全部当てちゃうし」
「でも、、」
紅は足を止めて右側にいる無表情な俺の顔をじっと見た。
「でも、毎回狙ったように平均点。私がいい点とるから、周りは私が來人に勉強を教えてるから馬鹿な來人が平均とれてると思っている」
「嫌なの。ほんとは來人が賢いのに」
鬱陶しいほど五月蝿かった蝉の鳴き声が、一瞬、止んだ気がした。
紅は自分をよく見せようとは思わないから、こういう時に扱いにくいところがある。
ここは、笑顔で
「恥ずかしいからだよ」
「ほら、うちの学校って上位20人毎回張り出すだろ?目立ちたくないんだ」
「うん、、」
「だから、予想問題のことは誰にも言うなよ。言ったらやめるからな」
「わかった、、」あまり、納得がいってないようだったがこの場は丸く納めた。
約束は守るやつなので
このことは誰にも言わないだろうが、すこし蟠りが残ったような気がした。
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