とある少年の独白

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   小学校の頃、変わった女の子がいた。変わっているといっても、頭がおかしいとか、人道を外れた道を歩んでいるとか、家庭環境が狂っているとか、そういう意味ではない。ある一点を除けば、彼女はいたってごく普通の女の子だった。普通に明るくて、普通にワガママで、普通に泣き虫で、普通にかわいいものやおしゃれが好きで、本人もそれなりにかわいくて、たまに男子から告白されて困ったように顔を真っ赤にしている、普通の女の子だった。それならなにが変だったのかというと、彼女は時々妙な行動を取ることがあった。さっきまで友達とニコニコ笑っていたはずなのに、急に押し黙って、とある一点をじいっと見つめているのだ。そこにあるのは椅子や机だったり、黒板だったり、壁だったり、けっしておもしろいものでもない。それでも彼女は、いやに思い詰めた表情でそこを凝視する。それから、ふと窓の外に視線を移した時なんかにも、何事もなく視線を戻したかと思えば、突然ぎょっとした顔でまた窓の外を見直したりもした。変わったものでもあるのかと、僕もつられて外に目を向けてみたが、見える範囲には別段なにもなかった。他の子が彼女のそういう行動に気付いていたのかは知らない。僕だけが彼女のことをよく見ていて、そんな彼女の時たまの行動に目を留めていただけかもしれない。しかし僕は彼女のそんな行動が気になったし、すこし怖くもあった。だからある日訊いてみたのだ。  
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