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「…………知鶴…………」
未だ涙を拭っていない陽子は肩を揺さ振られ、やっとその声の主に返答を返したのだった。
返事を返したことにホッと一息吐いた彼女は…だが、神妙な面持ちを崩さず、陽子の涙を拭っている。
「……何やってんの?…あんたはいったい?!」
涙を拭い、身体の汗も拭ってやると、少し怒気を含んだ声で扇風機のスイッチを入れて声の主、知鶴は肩を抱き陽子を助け起こす。
「………………。」
「……インターホンも携帯も、何回も鳴らしたのよ!?……おまけに鍵まで開けっ放しなんて!!……」
知鶴は心底案じていたのであろう、厳しい言葉をかけながらも優しく陽子を抱きしめる。
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