崩落

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揺れ動く紅い星を写しているうちに彼女の脳裏には昨晩の光景が甦る。 崩落の瞬間が……。 =============== その日、彼女……陽子は、約束を取り付けずに恋人の住まうアパートを訪ねた。 『お互いに連絡があまり取れなかった時は、少しでも時間ができれば相手の顔を見に行こう』と、二人の間でそのルールは暗黙の内に成立していた。 陽子自身は毎日の様に連絡を取らなければ気が済まない質ではない。 けれど、彼女の恋人がそんな陽子とは逆に一日二日と間を空けずに、朝な夕なと電話するなりメールを送る実に忠実な性格であった。
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