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……しばらく……陽子は口をきくこともできずに、麻美に覆いかぶさる様な体勢のまま動けなかった。
……いや…動くこともままならなかった。
動けぬ陽子の瞳には、赤々とした跡が………。
陽子ではない、誰かが麻美の躰に残した痕跡。
ジワジワと血の気が引いていく感覚を味わいながら、入れ替わる様に瞳には涙が満ちていく。
・・・・・・・・・・・・・・・
「………陽子?………陽子?!」
涙でぼやける視界に写っていた紅い星を覆い何かが写り混む。
その何かが自分を呼ぶ声を出しているとやや混濁した意識で陽子は感じとった。
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