口実は…もう、何でもいい…

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“ブルルル…” 着信を告げ震えだした携帯… 後部座席から聞こえていたその音が少しだけ隠った音に変わった。 どうやら床に落ちたようだ。 脱ぎ捨てられたジャケットのポケットから振動のせいで外に出て そのまま床に落ちたのだろう。 「…携帯…鳴ってますよ…?」 「かまわない…離れたくない…」 「でも…」 「チャンミナは…違うの?」 繋がったままの腰を僕の上で僅に浮かすヒョン… 「…ァ…ッ…動かないで…」 「…ほら…やっぱり…?」 イタズラっ子みたいな瞳で僕を見下ろしながら ゆっくりと沈めたり浮かせたりを繰り返す… 「…違…っ… ア…ッッ… シートが汚れますよ…?」 慌ててヒョンの腰を抑える… 「でも…チャンミンの…又大きくなった…? 俺の…中で…」 「き、気のせいです……って…ヒョン、電話…」 「‘ヒョン’じゃないだろ…?」 僕の胸に倒れ込むと 背もたれと背中の隙間に両腕を潜りこませギュッとしがみついた。 「名前…さっきまであんなに呼んでくれてたのに…」 黒飴みたいな瞳をクリクリと動かして… 「あ…切れた…」 愉快そうに肩を竦める… 「…急用だったかもしれませんよ…?」 暢気なヒョンを否めるように大袈裟に顔をしかめて見せても… 「もしそうだったら又直ぐにかかってくるっしょ?」 唇に重ねられた 甘くて柔らかな感触に うやむやにされ あっけなく夢中にさせられてしまう… 酷く…気持ちイイ… …もう…携帯なんか…どうでもよくなる… 。
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