口実は…もう、何でもいい…

3/11
前へ
/46ページ
次へ
でも… また直ぐに 再び震えだす携帯… 「………ヒョン…?」 「………んぅ…」 「やはり急用みたいですね… 出てください…?」 恨めしそうな上目遣いを送りつつ 右腕は僕の腰に絡ませたまま携帯の在処を探すヒョンの左手… 「あれ…確かこの辺りなんだけど…」 振動を放置し過ぎたせいで 手の届かない場所に潜り込んでしまったらしく 「…仕方ない…」 名残惜しそうに僕から上体だけ離し助手席の下を覗き込む… 「あった…」 携帯を手に取りながらトロケそうな笑顔で報告するヒョン… 「あ…でも切れちゃった…テヘ…」 「テヘって…全く…」 言葉とは裏腹に あまりに愛しすぎてついつい僕も笑顔になった… …次の瞬間… 画面を確認して一瞬険しくなる表情… 「…どう…しましたか…?」 「………ん… 着信履歴… …夢中で、気付かなかった… ほら…こんなに…」 画面を埋める夥しい数の着信履歴を僕に見せた… 全て同じ相手から… 『………ユノヒョン?!』 魔法がとけるように 一瞬で現実に引き戻される… 閻魔大王みたいなヒョンの顔が浮かび体温が2~3度下がった気がした。 「…チャンミナ… 大丈夫? 顔色悪…」 僕に近づくヒョンの身体をはね除けた。 「…チャ…ミナ…?」 突然僕に拒否られて暫く呆然としていたユチョニヒョンだったけど… 「きっと…ヒョン… 怒ってますね… 電話してください… 早く…」 そう告げて 僕は後部座席に散らばった服に手を伸ばした… 。
/46ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加