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2階の奥にある子供部屋に入ると、2つ並んだ机があって、ひとつは綺麗に片付いているけれど、もうひとつは目も当てられない程にプリントや教科書などが散らばっている。
……どっちがどっちの使っている机かは、この際置いておくとして、山積みになった本の隙間から、ようやく引っ張り出したらしい『夏休みのしおり』と、にらめっこをしている弟に声をかけた。
「雅也?雅也は何が終わってないの?」
「……………………ほぼ全部」
「…そういうのはさ、難しい言葉で言うと『自業自得』っていうんだってさ。今日は雨も降ってるし、あと2日あるから頑張れるだけ頑張ってみたら?」
「にーちゃん、手伝ってくんないの!?」
「手伝いません」
雅也は気が抜けたような顔をして、こちらを見つめてきたが…。
ふと笑顔になって、夏休みのドリルを小脇に抱えた。
「いいもーん♪おかーさんに手伝ってもらうもん!!」
「自分でやらなきゃダメだよ!!」
「終わればいいんだもん♪じゃね、行ってくる!!」
制止を聞くこともなく、部屋を飛び出した雅也を見送って、プリントが散らばった机の周りを仕方なく片付けていると…。
「にーちゃんっ!!大変だ!!早く来てっ!!」
突然、階下のリビングから聞こえてくる弟の大きな叫び声に、急いで部屋を飛び出す。
たどり着いたそこには、オロオロと立ちすくむ弟と、大きなお腹を抱えながら苦しそうに横たわる母の姿があった。
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