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その後…。
母の出産は難産を極め…すぐに病院に戻った父から呼び出しがかかったのは、あれから丸々1日が経過した翌日の午後のことだった。
一時は母子共に危険な状態にまで陥ったものの…生命力の強いこの赤ん坊は、その窮地を見事に乗り切ったのである。
満面の笑顔の病院スタッフに案内され、雅也と一緒に新生児室のガラスにへばりつくようにして赤ちゃんを探す。
新生児室のベッドに並ぶ赤ちゃんたちの中で、一番泣き声の大きい子を見つけて、雅也がそこを指差した。
「あれ!!絶対あの赤ちゃん!!だって『にいちゃんここだよ!!』ってオレたちを呼んでるもん!!」
「すごいわ!!雅也くん大正解よ。あの子があなたたちの弟くんよ!!」
そのスタッフの声を聞き、雅也と2人顔を見合わせニヤリと笑う。
「やっぱりね!!やっぱり弟だった!!」
「絶対に弟だと思ってたもんね!!」
赤ちゃんを見ながら廊下で跳ね回り、大いに喜びあう。
その時…俺たちの頭に『ゴチン!!』とゲンコツが落ちてきて。
「コラ!!院内では静かにしなさい!!」
厳しい口調に振り返ると、白衣で腕組みをしながら仁王立ちする………でも顔は目一杯微笑んでいる父がそこに立っていた。
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