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兄たちが、いつ帰って来てもいいようにと…紫峰は、休日には彼らの部屋もまめに掃除をするようにしていた。
自分を愛してくれているブラコン気味な兄たちは、正直うざったいけれど。
歳も離れているうえに、それぞれに忙しいから、なかなか帰ってきてくれない彼等が家にいてくれるのは…正直嬉しい。
さっき、次兄にも事の次第を知らせるメールを送っておいたから、放課後までには何かしら反応が返って来るだろう。
今夜のメニュー…何にしようかな。
朝の清々しい風を受けながら走る通学路。
色々と思いを巡らしながら、いつものように自転車を會田家の前に停めて、白い門扉を開けようとそれに手をかける……と。
『んもーっ!!バカ蒼麒っ!!朝っぱらから…イイカゲンにしてよねっっっ!!』
『あーん。怒んないでよぅ、姫ぇぇ…』
…あのバカップル……毎朝よくやるよ(苦笑)
聞きたくないけど聞こえてきた隣家からの声は軽く無視し、門を開いて敷地に入る。
「あっ!!おはよー、しーくん♪今ね、鳥さんにゴハンあげちゃうから…ちょっとだけ待ってて!!」
庭に立っていた翡翠が紫峰に気付いて振り返り、小さな紙袋を頭上で振り回しながらニッコリと微笑んだ。
「おはよ、翡翠。大丈夫。ここで待ってるから」
「うん!!みんなーっ!!ゴハンだよ♪」
鳥たちと楽しそうに戯れるその可愛らしい姿に、呆然と見とれながら立っていると。
「…………ああ…癒されるよなぁ…」
「紅さんっ!?…アンタいつの間に…」
気付けば隣には…。
いつものキリッとした佇まいの生徒会長ではなく…ただ、デレデレと鼻の下を伸ばしながら翡翠を見つめる紅音が、そこに座り込んでいた。
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