86人が本棚に入れています
本棚に追加
昨夜の病院は、大変にごった返していた。
近隣の町で大きな事故があり、その多数にわたる被害者の手当ての為スタッフ総出で戦っていたのだ。
しかしながら、そういう時っていうのは悪いことが重なるもので、一刻を争う病人の受け入れ要請が救急車から入った時……厳しい現状を思い、一瞬、院長は迷ったが…結局それを了承した。
救えるはずの命を見過ごしたりなんかしたら、お知り合いの…碧色の瞳を持つ天使サマにどんな目に合わされるか…考えただけで寒気が走る話だ。
「さて…。必要最低限の人数で行くしかないかな」
救急車を待ちながら一人言ちた院長。
そこへ…。
「猫の手で良かったら…使う?」
やけにのんびりとした声が後ろからかけられて…院長はぐるりと振りかえった。
「あっ!!紀幸っ!!お前……また黙ってコッソリ帰って来たのか!?」
「…ゴアイサツだなぁ、親父♪ほら、救急車が来るぞ!!」
そこに立っていたのは…アメリカにいるはずの松代家の長男。
その物言いに、ほとほと呆れた父親だったが、お説教は後回しにすることにして、今は目の前の仕事に集中するため2人でそれに急いで駆け寄った。
、
最初のコメントを投稿しよう!