1.運命を変えた一日

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* 何時になったら進路を決めんだよ。 そろそろ、母さんを安心してやれよ。 * そんな風に思いながら勉強を続けた。 「時雨、ここの問題なんだけど」 由貴がテキストから視線をあげて、 質問しかけた頃、携帯電話がライトを点滅させながら 着信を告げた。 「時雨、携帯。  着信、入ってるよ」 由貴は床に置いてあった僕の携帯を掴んで、 手渡す。 由貴に手渡された携帯の液晶を見つめたまま、 僕は無言で固まった。 * 送信者: 金城氷雨(かねしろ ひさめ) 本文 あにき、 写真を米田(よねだ)の おやじさんに * 弟、氷雨からの意味不明のメール。 そしてそこに添付されているのは、 人の顔が映った小さな写真。 写真を保存して拡大してみるものの、 画質はいいとはいえなかった。 「時雨、何かあったの?」 由貴が問いかけてくるものの、 僕の脳内思考はフル回転。 ふと飛翔が合図を送って、 僕の携帯を覗き込んだ。 同じように飛翔もまた、顔を歪める。 「何?  飛翔、時雨なんのメール」 由貴の催促に答えるように飛翔が僕の手から携帯を抜き取ると 由貴へと画面を見せた。 暫くの沈黙の後、由貴が再び言葉を発する。 「時雨、これって?」 由貴の声を聴きながら、 僕の思考はフリーズしてしまったままだった。 「由貴、時雨を頼む。  氷雨を探してくる」 飛翔が部屋を出ていく気配を感じながらも、 僕は氷雨から送信されたメールの意味を考え続けていた。 ふと視線を窓際に移すと雪がちらつき始めてた。 そうだ……くだくだ悩んでいないで、 氷雨に連絡してみよう。 そう結論付けて、 携帯電話へと手を指し伸ばす。 掴んだ携帯のリダイヤルで氷雨の携帯を呼び出すものの、 電源が入っていないのか、アナウンスがむなしく流れる。 床に拳をぶつけた後、ふらつく体を支えながら 絨毯から立ち上がると、今度は家の電話から米田さんに連絡をしようと リビングの方へと移動する。
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