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そんな悪夢のような惨劇が。
そんなあり得ない事件が。
つい一週間に起きてしまったです。
なぜ?
なぜ起きてしまったのか。
果たして、そのような事件を巻き起こした馬鹿者は一体何処の誰で。
一体何が発端でそれが起こったのか。
しかし、これだけの事態の事件の割りに、それらの疑問はたった一言で済まされてしまうのです。
事件の発端ーー原因。
それは、『魔王様の家出』なのでした。
どーん。
…………くっだらねー、です。
何なんですかね、家出って。
何なんですかね、反抗期って。
まさか引きこもりのあのゼクス様が家出だなんて、それもたかがパソコンの破損というだけで、あのお方は魔王国を放ったらかして何処かに行きやがったのです。
それもその家出先がーーまさか異世界だと言うではないですか。
そんな馬鹿げた境地に、本当に行ってしまうなんて、ゼクス様はどれだけ規格外のお方なのでしょう。
流石は歴史史上最強の魔王様です。引きこもりの駄王ですけどね。
しかし、いくら駄王だからと言って放っておくわけにもいきません。
駄王は駄王でも、彼は魔王であり、我が国唯一の王なのです。
我が魔王軍には、あのお方の力が必要不可欠。
いらないと思っても、どうしても捨てられない。
それがあのお方。
だからこそあのお方を、私たちは捜さなければ……というより捕獲しなければならないのです。
ゼクス様の家出から一週間。
領土内の混乱がやっと沈静化してきた今日のこの頃。
山のような書類を乗り越えて、私はやっとゼクス様捜索の件に踏み入ったのです。
……踏み入ったのですが。
「異世界なんて、私たちにどうしろと言うのです……」
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