魔王城アフターPart1

3/6
前へ
/8ページ
次へ
そんな悪夢のような惨劇が。 そんなあり得ない事件が。 つい一週間に起きてしまったです。 なぜ? なぜ起きてしまったのか。 果たして、そのような事件を巻き起こした馬鹿者は一体何処の誰で。 一体何が発端でそれが起こったのか。 しかし、これだけの事態の事件の割りに、それらの疑問はたった一言で済まされてしまうのです。 事件の発端ーー原因。 それは、『魔王様の家出』なのでした。 どーん。 …………くっだらねー、です。 何なんですかね、家出って。 何なんですかね、反抗期って。 まさか引きこもりのあのゼクス様が家出だなんて、それもたかがパソコンの破損というだけで、あのお方は魔王国を放ったらかして何処かに行きやがったのです。 それもその家出先がーーまさか異世界だと言うではないですか。 そんな馬鹿げた境地に、本当に行ってしまうなんて、ゼクス様はどれだけ規格外のお方なのでしょう。 流石は歴史史上最強の魔王様です。引きこもりの駄王ですけどね。 しかし、いくら駄王だからと言って放っておくわけにもいきません。 駄王は駄王でも、彼は魔王であり、我が国唯一の王なのです。 我が魔王軍には、あのお方の力が必要不可欠。 いらないと思っても、どうしても捨てられない。 それがあのお方。 だからこそあのお方を、私たちは捜さなければ……というより捕獲しなければならないのです。 ゼクス様の家出から一週間。 領土内の混乱がやっと沈静化してきた今日のこの頃。 山のような書類を乗り越えて、私はやっとゼクス様捜索の件に踏み入ったのです。 ……踏み入ったのですが。 「異世界なんて、私たちにどうしろと言うのです……」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

102人が本棚に入れています
本棚に追加