何処に行っても私は迷子

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「それじゃぁお先失礼しま~す」 少し高めのよく通る声にコーヒーカップに口をつけながら手を振り、安藤千明は答えた 「ん~気おつけて帰りなよ~」 その言葉に千明の後輩の岸本藍が振り返り 「千明先輩こそ無理しないで早く上がってくださいよ、夜の女の一人歩きは危険ですから」 「あはは、そうだね、、でも藍ちゃんも同じなんだから早く帰りな」 コトっとコーヒーカップを置いて薄く笑う、藍は呆れたような顔をして 「これ、、千明先輩に上げます。ですから早く上がってくださいね」 自分の鞄から飴を取り出し千明に投げた、千明は軽く受け取り 「センキュ~貴重な糖分ありがとね、それじゃ又明日」 ニコニコ手を振る千明に呆れながらも藍は笑い 「はい、また明日」 ぺこりと頭を下げその部屋を出て行った、それを見送った千明は 「さ、試作品が出来上がる時間だ」 飴をポケットに仕舞いこみうきうきとしながら何本かの試作品を手に取った そう、千明の仕事は研究いつも最後まで残って研究をしている。 千明は何本か取った試験管を軽く振り、結果見た 「成功、」 ニヤリと口角を上げて笑うと、スラスラと実験結果と考察を書くとペンを置いた、そこである異変に気づいた 「この試験管だけ色が違う、、、こんなもの作った憶えは、、」 濃い紫色の液体の入った試験管を目の前に持ってきて軽く振る、振るとその液体は怪しく光りだした 「なにこれ、、今までの実験でこんなこと、、、わっ!!」眩しいくらいに光っていた液体が、一瞬にして黒に染まったかと思った瞬間その黒が千明を包み込んだ
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