頭領

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音は少しずつ近づく。 武士は叫んだ。 「もし!旅のお方か?それとも地元のお方か?」 草を掻き分ける音は止まる、返答はない。 「我は怪しきものではない!旅路の者なり!ここは一体どのあたりであろうかのう!」 中年の武士は再びそう叫んだ。 「ここは神吹山の麓にございます。」 答えが帰ってきた。しかし武士はその声を聞いて驚く。 武士は恐る恐る訊ねた。 「女であるな?」 そう、聞こえてきた声は明らかに高くてか細い女性の声だったのだ。 暗闇から声のみが帰ってきた。 「はい、近くの村の娘でございますれば。」
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