8人が本棚に入れています
本棚に追加
音は少しずつ近づく。
武士は叫んだ。
「もし!旅のお方か?それとも地元のお方か?」
草を掻き分ける音は止まる、返答はない。
「我は怪しきものではない!旅路の者なり!ここは一体どのあたりであろうかのう!」
中年の武士は再びそう叫んだ。
「ここは神吹山の麓にございます。」
答えが帰ってきた。しかし武士はその声を聞いて驚く。
武士は恐る恐る訊ねた。
「女であるな?」
そう、聞こえてきた声は明らかに高くてか細い女性の声だったのだ。
暗闇から声のみが帰ってきた。
「はい、近くの村の娘でございますれば。」
最初のコメントを投稿しよう!