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「鳩が豆鉄砲くらったような面ァしやがって」
警官の格好をしたそいつは侮蔑の眼で僕を見下ろし、口の端を吊り上げて笑みを作る。
割れるように痛む頭を抱えてゆっくりと起き上がった僕は、我ながら掠れて耳障りな声で訊いた。
「……ここは、何処なんですか……?」
灰色の世界だ。
横になっていた簡易ベッド以外何もなく、鉄格子で仕切られ、剥き出しのコンクリートで固められた、殺風景を極めた部屋。
「俗に言う、ブタ箱ってとこだ」
警棒を指先で器用にくるくる回す彼は愉快そうに答えた後、こう言った。
「まあ、小一時間もすれば出られるさ」
よかった――そう思った僕は次の言葉に耳を疑う。
「護送車に乗って収監よ。このスパイめ」
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