1.目覚めは悪夢の始まり

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 気分が悪い。  頭痛は出発前より若干よくなっていたものの、ここまで延々と揺さぶられていては、何はなくともいずれ乗り物酔いに追いやられる。 「……っ」  急に胃からこみ上げてきたガスが口からげえと飛び出した。僅かに遅れて口を押さえる。  吐くかと思った。  ……いや、時間の問題だ。  このままじゃいずれ――。  絶望的な気分になった時、一度がたんと大きく揺れた後、道路が平坦になったのか車は全く揺れなくなった。 「おい」  覗き窓が開き、敵意を含む無愛想な目がぎろりと僕を見た。  そっと息を吐く僕に、助手席の彼はぶっきらぼうに告げる。 「到着だ」
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