1.目覚めは悪夢の始まり

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「……何故、僕が?」  胴震いだけじゃない。  声までが、震えた。 「何故僕はここに連れて来られなきゃいけないんですか」 「あァ?」  もう一人の警官が、まるで気違いを見る眼で僕を見た。 「俺達ゃ特にお前の護送以外の指示も理由も聞いちゃいないがよ、ここに来た理由はお前が一番よーく知ってんだろ? ほら、歩け」  どん、と背中を突かれた。  何かの間違いだと訴え続ける僕の横で身柄引き渡しの手続きが行われ、僕は看守二人に脇を固められたまま“収容所”の奥へと連れて行かれた。  地獄へ連れ去られるような気がして必死に抵抗する僕の態度にうんざりしたのか、やがて二人は呆れた様子で僕を担ぎ上げ、とある部屋へと連れ込んだ。
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