†死にたい理由†

3/49
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/139ページ
二人は病院を出て、 4ヶ月ぶりに顔を見合わせた。 「元気になって本当に良かった‥」 「魅夜美姉さん、そんなに心配なさらないで下さい!私は不死身ですから!」 蝙蝠の化け物に背中から刺されたが、運良く脇腹の部分だったので致命傷には至らなかったのだ。 「でも、あまり無理はなさらないようにね…」 魅夜美の心配をよそに、 幸はテンションが上がり、魅夜美の手を引いて歩き始めた。 「そうだ! せっかくなので、寄り道しましょう! そこの角に、プリンの美味しいお店があるのです!」 「まぁ…」 幸は遠慮なく、魅夜美をつれ回した。 小さなレストランや、 雑貨屋さん、 そして、路面に出ている屋台にも顔を覗かせた。 「へい、らっしゃい! お嬢ちゃん達、色々見てってよっ!」 屋台の若い兄さんが、大きな声をかける。 「あ~!見てくださいよ! これ、とてもステキだと思いませんか!?」 幸は、小物をいっぱいに広げられたテーブルの中から、キラキラと光る物を見つけた。 「これは‥?」 「これはブローチっていうんだよ! 嬢ちゃん、知らないの!?」 言われて、魅夜美は薔薇の形をしたブローチを手に取った。 「知りませんでした…」 「これはね!後ろに留め金が付いてるから、好きな場所につけられるんだよ!」 「はぁ…なるほど! 魅夜美姉さんには、これがお似合いです!」 幸は孔雀の形をしたブローチを、魅夜美の胸元にあててみた。 魅夜美も同じように、桜の形をしたブローチを幸の胸元にあててみる。 「幸はこれね」 二人は始終笑顔で話した。 魅夜美たちのお店は、和風の物が多いが、洋風の物は、外の世界にはいくらだって転がっていた。 400年前に、日本国が勝利して以来、 日本国民だらけだが、外国の文化は幾つも残されている。 だから、服装も皆がばらばらであった。 着物を着るものもいれば、 チャイナ服や、洋服や、スーツ、ドレスなど様々である。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!