†死にたい理由†

8/49
前へ
/139ページ
次へ
「では、あれはなんの為の会員費なんですか!?余分に払っているでしょうが!」 「申し訳ございません…!! しかし、あちらのお客様も同じようにお支払い頂いていまして… 是非、別の日のご予約を‥」 「今日でなければダメだ! もう我慢ができないんですよ!!」 150センチの小柄な店主に、二階堂は今にも暴力しそうな勢いだ。 しかし、負けずに店主はニコニコと笑っている。 「ーーーもう、結構です!!!! 魅夜美とは、今から出かけますから!」 小さな庭で、大きな口論の声。 近くを通りかかる者が、チラッとだけ覗いたりしている。 二階堂が魅夜美の手を取ろうとした時に、店主は横槍を入れ、それを阻んだ。 そして、魅夜美と幸にだけわかるように小さく合図する。 『中に入れ』と。 「二階堂さま! 大変、申しにくいのですが、それはこのお店では御法度なんです…! 店の娘は、店の外にはお連れしないで頂きたいのです!」 二階堂が店主に気を取られているうちに、魅夜美は軽く会釈をして宿場の中に入っていった。 「‥‥‥」 幸もすぐに着いていく。 「プライベートではありませんか!? 魅夜美とは、客と従業員としてではなく、プライベートで会うのです! プライベートには、口を挟まないでいただけますか!」 どんどんヒートアップしていく二階堂。 魅夜美と幸は、玄関の扉を閉め姿は隠したが、その会話が聞こえる場所に待機する。
/139ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加