11.別れの時

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「鈴木先輩、お疲れ様ですっ!」 最近入ってきた新人が私に笑顔で言ってきた。 その笑顔で、自分がまだ新人だった時の姿を重ねる。 「永倉さん、お疲れ様。先にあがらせてもらうね。」 三年目の私は後輩に教えるほどの看護師になった。 あれから三年過ぎたなんて時間って早過ぎる。 「鈴木さん、今日は終わりですか?」 後ろで水野先生の声がした。 「院長…。」 そう。 水野先生は去年、結婚したばかり。 お相手ははるさん。 最初はびっくりしたけど、今の先生は本当に幸せそうだ。 そして、今はこの病院の院長として毎日忙しく働いている。 「まだ院長らしい仕事は出来ていませんよ。だから、昔のように呼んでください。」 「ふふっ。じゃあ、水野先生で。」 まだ堅いところは昔と変わらないが、最近は笑顔が見られるようになった。 これも、はるさんの影響とかかな…?
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